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2025/10/10 神奈川芸術文化財団における労働基準監督署の是正勧告(時間外勤務手当等の計算方法の誤り)への対応について

当財団では令和7年2月に労働基準監督署より時間外勤務手当等の計算方法の誤りについて、是正勧告を受けました。その経緯と対応について、報告いたします。

 

 本件につきまして、関係者有志の皆さまから、説明が不足している、対応が不十分であるとの抗議をいただいております。内部の管理事項ととらえ、広く公表する事由ではないと考えて対外的にご報告を差し上げなかったため、事実を隠蔽しようとしているのではないかとの疑念をお持ちであるとも聞き及んでおり、そのように受け止められたことは、不徳の致すところと反省しております。ご報告が遅れましたこと、また不手際を深くお詫びいたします。

 

【勧告の経緯と概要】

 令和7年1月末に労働基準監督署の調査があり、その結果、2月12日に時間外勤務手当等の基礎額の算定に誤りがある旨の勧告を受けました。

当財団の正規職員の大部分を占める契約職員は、年俸制であり、「月例給料相当」、「期末・勤勉手当相当」、「退職金相当」等からなる職能給と職務区分に応じた職務給をあらかじめ提示し、その合計を15月で割った額を給料12ヶ月と賞与3ヶ月分に分けて支給しています。時間外勤務手当等の割増賃金については、契約職員以外の職員と同様に、「月例給料相当」分を時間外勤務手当の算出基礎として計算・支給していました。

しかし、勧告を受けて承知したところによれば、国の通達により、当財団契約職員の「期末・勤勉手当相当」等のように予め支給額が確定している場合には、賞与とみなさずに割増賃金の算定基礎に含んで計算しなければ労働基準法第37条に違反することになるということでした。

当財団の契約職員制度は、平成10年4月1日から実施されており、年俸額における時間外勤務手当の割増賃金の基礎に含まれる範囲に属する国の考え方が示されたのは、平成12年3月8日でしたが、当財団ではその通達による法令解釈を認識できないまま、勧告まで至ってしまっていたものです。

 

【勧告への対応】

労働基準監督署からは、計算方法を是正するとともに、不足額については、令和6年5月1日に遡及して支払うよう勧告されました。

勧告を受けて財団では、令和7年3月分から、法令等に即した計算により時間外勤務手当等を支給することとしました。また、現在の在職者と退職者に対しては、「賃金請求権の消滅時効期間が3年」と法令に定められていることから、勧告内容にとどまらず、過去3年分となる令和4年3月から令和7年2月までの間の不足額をお支払いすることとし、理事会に報告し了解を得たうえで4月に対象者にお支払いいたしました。

(対象者61名(退職者18名を含む)、支給総額 約3,271万円)

また、勧告および一連の対応については、神奈川県にも随時報告してまいりました。

不足額は、当時において本来支払われるべきであったものであり、3年にとどまらずに遡及した支払いを求めたいとお考えになるところと存じます。一方、3年分で3000万円超の費用を要したことから推定するとすべての方へのお支払いは財団経営に大きな影響を与える費用が必要なこと、また多くの方について算定の根拠となる基礎資料が存在しないことから、法令を超えてそうした対応をすることは、適切な経理執行という点からも、現在財団を支えてくださる方々、各ステークホルダーへの責任の点からも選び難いと判断し、不足分のお支払いの遡及は、賃金請求権の消滅時効を援用し3年分とする、苦渋の判断をとらせていただきました。

在職当時、財団のためにご尽力いただきました退職者の皆様には大変心苦しく恐縮ではございますが、上記判断につきまして、ご理解を賜りますよう何卒お願い申し上げます。

 

【財団の不手際に関してお詫び】

退職者の皆様には、お支払いの対象となる方にのみご連絡してお支払いを行いました。

この際、対象となる方へのご連絡に不備・不足もあって、ご理解を得る前に支払いが行われる結果となり、対象者の一部の方からお叱りを受けております。これは財団側の不手際によるものであり、ご意見をくださった方々にはあらためてお詫びを申し上げます。

また、お支払いの対象としなかった退職者の皆様には、特にご連絡を差し上げることをいたしませんでした。財団が持つ過去の在職者情報としては、保存期間が5年である労働者名簿であり、退職して5年を超えた方についての情報は廃棄され、保有しておりません。不足分お支払いの対象とならないという意味で同じ立場となる退職者の中で通知が届く方と届かない方が出るのは、公平性の観点から避けようと考え、不足分お支払いの対象となる方についてのみご連絡いたしました。

本来ならば、本事案を速やかに公にして、全退職者に広く周知できるよう対応すべきでしたが、その時点でそうした考えに至りませんでした。この点につきまして、きわめて配慮の足りない対応であったことを大いに反省いたしますと共に、陳謝いたします。

9月20日の神奈川新聞に本件関係の記事が掲載されました。ご退職されている皆様の多くの方にとりましては、財団から何の通知もないまま、この記事で本事案を知ることになり、ご不快な思いをさせましたことを、重ねてお詫びいたします。

 

【説明会の開催】

以上の内容につきまして、退職者の皆様に直接ご説明を差し上げるための説明会を11月初旬に開催いたします。

詳細は、後日、ホームページにてご案内するとともに、退職後5年以内の方にはご案内をお送りいたします。個別に案内をお求めの方はその旨下記の問合せ先メールアドレスあてご連絡ください。

 

 今回、国の通達を認識することなく、正しく時間外勤務手当の支給を行えていなかったことは、ひとえに当財団が責を負うべきところであります。

今後はこのようなことのないように、襟を正して、情報収集にもしっかり努め、法令遵守を旨として運営してまいります。

 

【問合せ先】

公益財団法人神奈川芸術文化財団

setumeikai2025@kanagawa-af.org