第15回神奈川国際芸術フェスティバル

東京バレエ団「ドナウの娘」全2幕

斎藤友佳理の舞台写真

「ドナウの娘」は、伝説の舞姫マリ・タリオーニが初演した香り高いロマンティック・バレエの傑作です。19世紀、白く透けるチュールのスカートとトウ・シューズを身に着けた妖精役で一世を風靡し、バレリーナの代名詞となったマリ・タリオーニの個性を最大限に生かすよう創られた本作は、その魅惑的な特色ゆえに失われたと言われています。
これを現代によみがえらせたのが、ロマンティック・バレエの研究家でありパリ・オペラ座バレエ団出身の振付家、ピエール・ラコットです。タリオーニの出世作「ラ・シルフィード」を同様によみがえらせ成功を収めたラコットは、次に手がけるのは「ドナウの娘」だと決めていたといいます。
斎藤友佳理の舞台写真東京バレエ団は、2006年この「ドナウの娘」日本初演を行い、その舞台は、第6回朝日舞台芸術賞を受賞しています。
 ドイツのドナウ川沿岸地方に残る伝説のもと、舞台となるのは花々が咲き乱れる谷間。出生の定かでない、けれど無垢な美しさをもつ娘フルール・デ・シャンと、彼女に魅了される青年たち。美しい自然に囲まれた村と豪華な宮廷、妖精たちが棲む水中の世界。そこで起こる突然の悲劇と神秘的な出来事・・・。ここにはロマンティック・バレエ最盛期の息吹を伝える魅力的な要素がつまっています。
「ドナウの娘」は、ヒロインが暮らす村、領主の宮廷、ドナウの川底へと場面が移るなか、村人や貴族、女官や護衛、小姓や子供たち、そして妖精たちなど登場人物が延べ128人にのぼり、これらを80名の出演者が演じるという大規模なバレエです。
 主役たちのいくつものヴァリエーションやパ・ド・ドゥ、ソリストによるパ・ド・サンクに加えて、村娘たちの可憐なダンスや妖精たちの幻想的な群舞など、華やかな見どころが満載。また、領主を欺こうとするフルール・デ・シャンの演技、恋人を失ったルドルフの狂気の場面など、ドラマティックなシーンも見逃せません。ロマンティック・バレエのスタイルにもとづく、味わい深いダンスと演技をお楽しみください。

[物語]

−第1幕−
あるときドナウ川上流の岸辺で発見され、村人の養女として育ったフルール・デ・シャン。彼女は、村の領主である男爵の従者、ルドルフと恋仲で、ドナウ川の女王も二人を祝福している。 ある日、男爵が「村でもっとも美しい娘を妻に娶る」とお触れをだす。自慢の娘が選ばれるかもしれないという養母の期待をよそに、フルール・デ・シャンはルドルフに「お城では足を引きずり、ぎくしゃくとした物腰で、けっして自分が選ばれないようにする」と彼を安心させる。 領主の花嫁選びの日。村の若い娘全員が城を訪れ、フルール・デ・シャンも足を引きずって同行する。しかし男爵は彼女のそんな姿にかえって心を動かされ、花嫁にと望む。側に控えるルドルフがあわてて自分たちの仲を告げると、男爵は反逆罪で捕らえるよう命じる。絶望したフルール・デ・シャンはバルコニーに駆け寄り、ドナウ川に身を投げる。
−第2幕−
恋人が水面に消えるのを目撃したルドルフは正気を失い、 男爵や護衛たちを振り切って、自らもドナウ川に身を投げる。男爵は二重の悲劇を嘆く。 ドナウ川の川底。そこにはドナウ川の女王と水の精たち、そしてフルール・デ・シャンがいる。水の精たちに囲まれたルドルフは、女王から「ベールを被った彼女たちの中からフルール・デ・シャンを見つけられれば、二人とも地上に返してあげよう」と言われる。ルドルフは愛によってこの挑戦を成功させ、ふたりは共に水面に昇る。
総監督:佐々木忠次
芸術監督:飯田宗孝
振付・演出:ピエール・ラコット
出演:斎藤友佳理木村和夫、井脇幸江、中島周、橘静子、平野玲、他東京バレエ団総出演 指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
東京バレエ団「ドナウの娘」全2幕
会場:神奈川県民ホール大ホール
日時:2008年4月29日(火曜・祝日)16時開演(15時15分開場)
チケット:全席指定 S席9,000円 A席7,000円 B席5,000円 C席3,000円 学生2,000円
この公演は終了しました
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