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菊池 彦典

 愛媛県出身。
 東京芸術大学卒業後、ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院に留学。フランコ・フェッラーラ氏に師事。シエナ夏期指揮コースにて名誉学位を授かる。
 1970年ローマ・サンタ・チェチーリア音楽院オーケストラを指揮してデビュー。1973年〜77年までイタリアのパレルモ・マッシモ歌劇場付属オペラ中央養成所にて、往年の名歌手ジーナ・チーニャとともに国際的オペラ歌手の養成にあたる。1978年〜83年までドイツのヴィスバーデン歌劇場と契約し本格的な指揮活動を開始。また、ラス・パルマス、トゥールーズ、ストラスブール、フランクフルト、マンハイム、ミュンヘンなどヨーロッパ各地に数多く客演し、「蝶々夫人」「ルチア」「ラ・ボエーム」「ルクレツィア・ボルジア」「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」「トスカ」「椿姫」「アンナ・ボレーナ」などイタリア・オペラを主軸としたレパートリーで活躍する。ベルリン・ドイツ・オペラでは初の日本人指揮者として「ルチア」を指揮し、成功を収めた。1983年よりフリーとなり、85年にはミラノ・スカラ座での新制作「蝶々夫人」(浅利慶太演出)の指揮で話題を集め、同年ラヴェンナ・オペラ・フェスティヴァルおよび87年アレーナ・ディ・ヴェローナに日本人指揮者として初めて登場、レナータ・スコット演出「蝶々夫人」で大成功を収めた。
 1988年秋、藤原歌劇団「蝶々夫人」で日本デビューを飾り、絶賛を博す。その後もヴィットリオ・ロッシ演出の「アイーダ」をはじめヨーロッパ各地で活躍の一方、藤原歌劇団で「トスカ」「オテッロ」「運命の力」「アンドレア・シェニエ」「椿姫」「蝶々夫人」「アドリアーナ・ルクヴルール」などを指揮し、日本では数少ないオペラのエキスパートとして不動の名声を確立する。二期会では「こうもり」やオペラ・ガラ・コンサートを指揮。
 1998年より活動の拠点を日本に移し、早速、新国立劇場に「蝶々夫人」でデビュー。その後も新国立劇場では「マノン・レスコー」「仮面舞踏会」「トゥーランドット」「椿姫」「オテロ」で好評を得ている。その他、新星日本交響楽団「ラ・ジョコンダ」(演奏会形式)、東成学園オペラ「夢遊病の娘」「ドン・パスクアーレ」「ルチア」、日本オペラ団体連盟人材育成オペラ公演「修道女アンジェリカ」「ジャンニ・スキッキ」など数々のオペラ、NHKニューイヤー・オペラコンサート、東京フィルハーモニー交響楽団「ニューイヤー・コンサート」、スペース・デザイン主催「夏のオペラ・ガラ・コンサート」、産経新聞社主催「イタリア・オペラの夕べ」など、各種コンサートを指揮。特にイタリア・オペラへの造詣の深さは定評があり、表現力の豊かな情熱的演奏で聴衆を魅了している。日本を代表するオペラ指揮者として国際的な活躍を続け、2006年7月にはシチリアのトラパニ音楽祭に招かれ、「ラ・ボエーム」を指揮している。また、2006年3月まで昭和音楽大学教授を務めるなど、人材育成にも力を注いでいる。
 2005年よんでん芸術文化賞受賞。



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