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出口 正子

 国立音楽大学卒業。東京芸術大学大学院修了。田島好一、アントニオ・ベルトラミ、エドアルド・ミューラー、ニーノ・スカットリーニの諸氏に師事。第10回日伊声楽コンコルソ第1位。第43回日本音楽コンク−ル第1位。海外派遣コンクール特別表彰受賞。その後渡伊、スカラ座研究所で研鑽を積む。
 1981年ミラノのテアトロ・ナツィオナ−レの「ルチア」でオペラ・デビュー、<狂乱の場>の至難なカデンツァを歌い終わった後は嵐のような喝采が鳴りやまず、公演が一時中断するほどの大成功を収めた。同年アレッサンドリア市立歌劇場に「ファルスタッフ」のナンネッタで出演。翌年クレモナのテアトロ・ポンキエッリにて「椿姫」のヴィオレッタにリッチャレッリとダブルキャストで出演して成功を収め、ヴェロ−ナの冬シーズンの「椿姫」にも出演。その後もイタリア各地で活躍を続け、特に85年、ドニゼッティの生地ベルガモのドニゼッティ・フェスティバル開幕の「ルチア」で絶賛を博した。また、フランス、オランダ、アメリカなどへもデビューを果たしている。近年もイタリア各地での活躍のほか、フランスのトゥールで「リゴレット」、メリニャックで「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・エルヴィラ、パリでコンサートなどに出演。98年10月にはフランスのリモージュ歌劇場での「ドン・ジョヴァンニ」に初役ドンナ・アンナで出演した。その後も、2000年にはイタリアのアスコリ・ピチェーノ劇場で「蝶々夫人」、01年スペインのマラガでカゾッラとバルトリーニ共演の「トゥーランドット」に出演し、02年にはミラノの新ピッコロ劇場での「蝶々夫人」にも出演している。
 日本では、1987年藤原歌劇団「ルチア」でオペラ・デビュー後、藤原歌劇団のプリマドンナとして、「椿姫」はもとより「リゴレット」、「清教徒」(日本初演)、「夢遊病の女」、「ルチア」(93年)、「愛の妙薬」と数々の主役を務め、期待に違わぬ見事な歌唱で絶賛を博している。97年には「カルメン」のミカエラで新境地を開き、99年は「椿姫」出演後、Bunkamura/エクサンプロヴァンス公演「ドン・ジョヴァンニ」のドンナ・アンナに急遽代役出演し喝采を浴び、3月には「ラ・ボエーム」でミミを歌っている。2001年新国立劇場「トゥーランドット」のリューで絶賛を博し、02年には藤原歌劇団・新国立劇場催公演「カルメン」にミカエラで出演。04年8月にはラヴォーチェ公演「ルチア」、05年8月には藤原歌劇団公演「アドリアーナ・ルクヴルール」でタイトルロールを演じ、06年8月にはラヴォーチェ公演「ラ・トラヴィアータ」のヴィオレッタで絶賛を博した。06年10月にはびわ湖ホール・オペラのヴェルディ作曲「海賊」のグルナーラ、07年1月には東京室内歌劇場公演「井筒の女」(別宮貞雄作曲、新作・初演)に出演。その他、NHKニューイヤー・オペラコンサートなど各種コンサート、リサイタルでも活躍している。確かな歌唱技術を持ち、特にベッリーニやドニゼッティなどを得意とするベルカント・ソプラノ。1996年ベルカント・オペラのアリアと歌曲によるファースト・アルバムを発売。                                 
 第15回ジロー・オペラ賞大賞受賞。昭和63年度芸術選奨文部大臣新人賞受賞。    
 藤原歌劇団団員。



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